富山駅から車を走らせて20分ほど。
神社とお寺が並ぶ稀有な景色の前に工房 "流動研究所"と、築70年の古民家を自身で設計し、
改修を続けている自宅兼ギャラリーがあります。
建物の解体からはじめて足掛け6年ほど経つでしょうか。
ここ数年、私は完成が近づいてきた自宅に住みながら照明について考えています。
立山連峰と田園風景が広がるアトリエの景色を横目に、
アイデアを描き、部品をCADで設計し、実際に3Dプリンターで成形して試作する日々が続きます。
こうして一から考えた金具は国内の専門業者へ発注します。
将来の技術を支えてゆくためにも、
小さな金具部品まで 日本国内で制作することにこだわっています。
硝子のシェードはひとつひとつ型を使わずに手吹きで制作します。
2000年も前から続く吹き硝子の技術と、現代の3Dプリンター技術との組み合わせ。
このコントラストがまた面白いと思いませんか。
1995年に私が制作した "Soap Bubble Holder" は、
儚いソープの泡を長い時間保存し、じっくりと眺めるための容器です。
あるとき、私がデザインする照明と"Soap Bubble Holder" は、似た意味を持つことに気がつきました。
鏡を施した硝子のシェードは、電球のフィラメントを心地よくじっくりと眺めるための、いわば容器であると。
さあ、もう少しで自宅の照明が仕上がるという頃、
偶然にもBRUTUS 1000号企画のお話をいただいたので、ここでいくつか発表することにしました。
生活の中にあり、日々目にするものから得る経験を皆さんと共有することができると嬉しいです。